富野由悠季監督とその作品をひたすら語るブログ

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『センゴク一統記』は残り8話で終了する? そして第4期はどう展開する…?

2015/07/25 19:25|レビューTRACKBACK:0COMMENT:0
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 週刊ヤングマガジンには『センゴク』という戦国時代をテーマにする漫画がありますが、なかなか面白いですので、ファンとしては応援しています。

 『センゴク』は無印と「天正記」を経て、今は「一統記」という第3シリーズに入っています。現在単行本では13巻まで発売されています。以下は、『センゴク』のこれからについて話してみたいと思っております。

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 今までの無印も「天正記」も15巻で一旦仕切って、新しいタイトルになってまた連載する形となっています。それゆえ、現行の「一統記」も15巻で終わるのではないかとファンの間に言われています。巻数の積み重ねで新規ファンの流入を妨げかねないという意味では、一旦巻数をリセットして、タイトルをマイナーチェンジする形は漫画界ではよくあるものですので、可能性としては十分あると思います。

 現在、発売されている「一統記」第13巻では、116話まで収録されています。

 「一統記」は週間連載で、1巻あたりがだいたい9話収録という形なので、14巻以降の収録は以下のようになると予想されます。

話数週間ヤングマガジン号数収録
1172015年24号一統記第14巻分(予想)
1182015年25号
1192015年26号
1202015年27号
1212015年28号
1222015年29号
1232015年31号
1242015年32号
1252015年33号
1262015年34号(7月18日発売)一統記第15巻分(予想)
127
128
129
130
131
132
133
134(一統記最終話?)

 休載があるかもしれませんので、これからの号数を予想しませんが、仮に15巻で終わるものとしたら、現在の小牧長久手の戦いの真っ最中から終わりにたどり着くには、実に残り8話の余裕しか残っていません。ネタバレで恐縮ですが、34号で池田・森の軍勢が徳川軍と真正面にぶつけたので、おそらくあと2話くらいで死んで、そして残りの戦役も3話くらいでさっさと飛ばして、羽柴家の政治力の勝利でシリーズの一旦の結びに入るのでしょう。



 そもそも、15巻で終わるのは新参読者のためのほかにもちゃんと意味があります。第1部と第2部にあわせるのもそうですが、なにより第3部「一統記」は高松攻略→中国大返し→山崎の戦い→賤ヶ岳の戦いという快進撃と来て、今は泥沼の小牧長久手の戦いに入っていますので、史実とはいえ、どこか挫折した爽快感があるのはどうしても否めません。

 加えて、秀吉は第1巻の陽気な上官(ゴンベエ視点)から統治者になりつつあるので、その変貌によるギャップさに家康戦の(戦術的)敗北もあいまって、相当ストレスをたまっている読者だってあるのでしょうから、作者的にも小牧長久手の戦いで一旦仕切り直すのでしょう。

 そうなると、第4シリーズのスタート状態は「秀吉が信雄と講和し(実質的に屈服させた)、征伐の目標を西へ向かう」というものになるのでしょう。「天正記」の開始も「一統記」の開始も「小競り合いをしつつ、大きな戦役を控えている」という形と相当似ているものですし、紀州征伐も四国征伐もゴンベエが参戦するので、久々に中枢と連携して戦うゴンベエが見えるのでしょう。

 そして、もちろん最大の失敗である戸次川の戦いおよび挽回である小田原征伐。これからも楽しみで仕方ありません。

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 以上の話から見ても分かるとおり、そもそも本作の連載初期、つまり10年前からずっと掲げてきたテーマですので、打ち切りの憂いもなさそう本作は、小田原征伐まで描くのはすでに決定事項と言っていいかもしれません。しかし、仮に第4シリーズも15巻予定ならば、小牧長久手~小田原征伐までのエピソードは15巻に保てるほどのネタがないと思います。

 というわけで、あくまで一「センゴク」ファンとして、以下のような予想をしました。このペースだと、なんとか大阪の陣までたどり着けます。天正記で蒔いた「仙石と真田家の因縁」という伏線を回収し、四国組、それから後藤又兵衛と仙石次男の共闘などを描け、なにより主人公の権兵衛の生き残りのための措置も見えてきますので、ファンとしてはぜひそれが見たいのです。

大まかな話ボリューム通算巻数
豊臣政権にめぐる話0.5巻0.5巻
紀州征伐1巻1.5巻
四国1.5巻3巻
讃岐国主~戸次川の戦い2巻5巻
潜伏時代1巻6巻
小田原征伐~大名に復帰2巻8巻
豊臣政権の変遷~家康に接近~秀吉の死2巻10巻
秀吉死後~関が原の戦い2巻12巻
徳川の世1巻13巻
仙石秀久逝去1巻14巻
その後(大阪の陣など)1巻15巻


 このリストに関して駆け足だと感じる方もいるかもしれませんが、そもそも天正記も一統記もわりとテンポが早いですので、作者の豪腕をもってすれば、必ずこの戦国一大物語を描ききれるのでしょう。

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『センゴク』仙石権兵衛秀久の家臣リスト

2015/05/15 19:49|レビューTRACKBACK:0COMMENT:0
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 ごきげんよう、『センゴク』のファンです。センゴクと権兵衛オトコこと仙石権兵衛秀久大好きですが、文句がないわけではありません。

 その文句というのは、つまり「史実家臣があまりにも少なかった」という一言に尽きます。

 そもそもね、後藤又兵衛が史実に反して早期離脱したことは仕方ないとして、数少ない名ありキャラ(苦笑)である庄林一心まで登場しないのはどういうことなのですか(涙)!

 いつまでも内政の「川坊(オリキャラ)」「治の字2号(オリキャラ)」、戦の「孫太郎(オリキャラ)」「津田妙算(オリキャラ)」という調子で、仙石家四天王(笑)が全員オリジナルキャラなんじゃないですか!

 作者にとって、演出的に必要はないかもしれませんが、それでも出てもいいじゃないですか。もうね、ゴンベエさんのドン底まであと2年くらいだけですよ。その間のハネムーン期間を与えてもいいじゃないですかー。



 以上が文句でした。せっかくですから、『センゴク』シリーズの描写に基づいて、以下の家臣リストを作りました。

名前登場巻数劇中での扱い史実生没年備考
川坊天1巻仙石家のあらゆる庶務を仕切っている。そんなもの無い実は名あり家臣のなかで最古参。仙石本家のものだから、仙石姓であるはず。
萩原孫太郎国秀天1巻叔父方の萩原家からの一族衆。戦闘方としての最古参で、陣代を勤めたこともあるほど信頼が深い。そんなもの無い最近髭を生やしはじめている。
仙石治左衛門盛政天1巻本家からの一族衆。長篠の戦いで戦死(天4巻)。そんなもの無いわりと印象残っている。
堀田右馬助正惟天1巻母方の堀田家からの一族衆。長島一向一揆の後で逃亡し(天2巻)、いつの間にか本願寺の一向衆に参加。そんなもの無い家臣時期はわずか1巻くらいで、一番役が立てなかった。
津田杉ノ坊妙算天2巻「粗葉粕太郎」と名乗る。明智光秀以上の射撃の名手。ゴンベエが大名になっても、あくまで護衛、アドバイス役に徹する。そんなもの無い史実人物「津田妙算(たえかず)」の名前と出身を借りたオリジナルキャラ。
仙石右衛門治盛天10巻旧姓小川で、治左衛門の家に養子として入った人。初登場は兵卒姿だったが、いつの間にか事務方に回った。そんなもの無い治の字2号である。顔は1号となぜか瓜二つ。
後藤又兵衛基次天10巻主を監禁されて途方に暮れた時、ゴンベエに招聘され仙石家に身を寄せた。丹生山城、上津城攻略の鍵となった。史実では戸次川の戦いの後の離脱だが、作中では官兵衛救出後での早期離脱。1560~1615ゴンベエさんより有名。
川兄一8巻淡路での庶務方。そんなもの無い「ちぇんごく」初登場のキャラらしい。
間島氏勝一1巻播磨の国人。秀吉の命令で仙石の淡路渡りに協力。作中とおり、賎ヶ岳の戦いの後で淡路岩屋城主になる。不詳史実では賎ヶ岳の戦いに参戦など、仙石と一切絡んでいなかった。作中の「家臣ではない」というのはこれへの皮肉か。
広田藤吾一2巻淡路の土豪。淡路平定のために来る仙石の家臣団に加わる。仙石改易後でもそのまま淡路領主に仕え続ける。不詳広田蔵之丞とも。
大平殿一7巻いきなり出てきた淡路の国人で庶務方。史実の大平国祐?讃岐方面の豪族。1585年秀久に仕え、戸次川の戦い以降、かつての家臣の下に身を寄せたという。1538~1603史実では四国平定後の家臣だったが、劇中では1582年ですでに協力することとなっている。
仙石〔森〕権平久村一9巻森村吉の子。人質として出された森三人衆のリーダーで劉備担当。引田の戦いで別働隊を率いる。森水軍の森筑後守村吉の次男。人質だが、秀久に可愛がられて、苗字までもらった。1565~1583当地ではそれなり有名らしい。
仙石〔森〕勘解由久春一9巻森三人衆の関羽担当。引田の戦いで別働隊を率いる。とにかく仙石家の家臣。引田の戦いで死亡。?~1583作中では名前が「久武」の森一族で、仙石への改姓だが、おそらく史実ではない。
仙石〔森〕覚右衛門久武一9巻森三人衆の張飛担当。デブで力持ち。引田の戦いで別働隊を率いる。
引田の戦い以降も生存。ちなみに2013年頃、この人の子孫が貴重な資料をネットにアップしたことから、その生存が確認できる。前田家と関係あるらしい。?~1604以降作中では名前が「久武」の森一族で、仙石への改姓だが、おそらく史実ではない。
森石見守村吉一9巻淡路水軍森一族の者で、三好家家臣。ゴンベエの淡路平定および四国攻めに協力し、養子を出している。信濃小諸時代で7000石をもらうほどの重臣。ちなみに父と同じく「筑後守」という表記も。不詳
兄の森村春と兄に養子を出した村重は阿波蜂須賀家家臣。また、「仙石」という苗字をもらった資料もある。


 以上の家臣を現状で分類すると、以下になります。


家臣戦闘方
 孫 天1巻~最新連載
  治の字1号 天1~4巻(戦死)
  馬 天1~2巻(逐電)
 そばかす 天2巻~最新連載
  後藤又兵衛 天10~12巻(黒田家へ復帰)
  権平 一9~11巻(戦死)
  勘解由 一9~11巻(戦死)
 覚右衛門 一9巻~最新連載

家臣庶務方
 川坊 天1巻~最新連載
 治の字2号 天10巻~最新連載
 川兄 一8巻~最新連載
 大平殿 一7巻~最新連載

与力、協力者
 間島氏勝 一1巻~最新連載
 広田藤吾 一2巻~最新連載
 森村吉 一9巻~最新連載


 こうして見ると、11人のうちの半分ほどがオリジナルという状態で、一番出番のある戦闘方に至っては史実キャラが一人のみという有様。別にそれはそれでかまいませんが、やはり多少さびしい感じがします。



 一方、wikipediaなどネットの資料を参照すると、四国平定前の仙石家にいるはずだったのに、『センゴク』に登場していなかった人物として、1583年に法勲寺城を築いた小川伊勢守、戸次川の戦いで離脱するはずだった後藤又兵衛および元荒木家臣の庄林一心がいるはずでした。

 後藤はもう離脱したのでどうしょうもありませんが、これからゴンベエさんは黒田家と共闘することがありますので、官兵衛から借りた人材で再び組むのも燃える展開なのかもしれません。また、小川伊勢守もちょっと間に合いそうもありませんが、治の字2号の旧姓がなぜか小川ということは、ひょっとしたらこれへのフォローなのかな。さらに、いつの間にかそこにいることとして、庄林の登板も期待されます。まぁこの展開だとちょっと無理かもしれませんが…。

 とにかく、『センゴク一統記』の13巻はいよいよ小牧長久手の戦いです。秀吉の天下人への変貌、山崎の戦い以来始めての挫折、そして家康の変異など。史実があるとはいえ、果たしてこれからはどうなるかは楽しみである。また権兵衛の放置プレイが始まりますケド…。


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仙石権兵衛秀久の岳父・野々村幸成の年齢について




仙石権兵衛秀久の岳父・野々村幸成の年齢について

2015/05/14 15:16|レビューTRACKBACK:0COMMENT:0
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 こんにちは、『センゴク』ファンです。今日はタイトルのとおり、仙石権兵衛秀久の岳父・野々村幸成の年齢について語りたいと思います。

 インターネットで調べると、野々村幸成の生没年には「永禄4年(1561年) - 慶長20年5月7日(1615年6月3日)」と「生年不詳- 慶長20年5月7日(1615年6月3日)の二パターンがあります。しかし実は、前者の1561年生まれは根拠不明のものです。

 根拠不明ではあるが、何せ古代の人物だ。古文書に記載されている内容もあるかもしれません。そうはいっても、やはり「生年不詳」のほうがこそ正しいことを説明したいと思います。



 この推論をするために、まず関連人物たちの年齢を引っ張り出す必要があります。

仙石秀久
天文21年1月26日(1552年2月20日) - 慶長19年5月6日(1614年6月13日)

本陽院
? - 文禄5年(1596年)

仙石久忠
生年未詳 - 慶長7年(1602年)8月

仙石秀範
生没年未詳

仙石忠政
天正6年(1578年) - 寛永5年4月20日(1628年5月23日)


 秀久には三人の子を持っているが、生没年がはっきり記載されているのはのちの藩主である仙石忠政のみです。で、三男でもある忠政が1578年生まれということは、長男の久忠と次男の秀範は最遅でも1576年と1577年に生まれなければならないことになります。

 そして、野々村幸成の生年を1561年だと仮定したとき、孫を儲けた年の野々村幸成は何歳でしょう。

1576-1561=15

 15歳です。そう、孫を持つ15歳。15歳で孫を持つ。

 1561年生まれの仮定だと、野々村幸成がとんでもない若さ(一桁)で娘を産め、そしてその娘がとんでもない若さ(一桁)で仙石家へ嫁ぎ、三年連続で子を産め、そして仙石権兵衛秀久という人間は前田利家以上の鬼畜ロリコンということになります(前田ファンすまん)。そもそもこの仮定だと、岳父のほうが義理の息子より年下になるのですが、それは…。

 以上の推論から考えれば、野々村幸成が永禄4年(1561年)というのは明らかな謬見です。つまり、本陽院は幼じょ…ではなく、野々村幸成の養女でもない限り、こんなことはありえません。そして養女という文献が存在しない限り、WIKIPEDIAに載っているものは完全な間違いということになります。野々村幸成の生没年に関する正しい表記は、「生年不詳- 慶長20年5月7日(1615年6月3日)」とされるべきです。

 WIKIPEDIAは元々信憑性が高くないとはいえ、読んでいる人数が非常に多い上、自動的に引用するところも多いですので、一刻も早く修正していただきたいものですね。




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森下裕美『なのな フォト ゴロー』はオススメ

2013/12/22 22:12|レビューTRACKBACK:0COMMENT:0
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 最近は、この作品を毎週楽しみにしております。

 『少年アシベ』『ここだけのふたり!!』などで有名の森下裕美氏の新作、

 『なのな フォト ゴロー』というウェブ連載です。

なのな フォト ゴロー| WEBコミックアクション

食品工場勤めの独身男、谷師悟郎(たにしごろー)。
日々はさえない。明日もイヤなコトしか起こらないだろう…。
西荻窪的雑貨屋勤めの女の子、阿木七乃菜(あぎなのな)。
日々、ぼんやりと生きている。心はけっこうすさんだりしている…。
コドクな男とコドクな女の美しくはない奇妙な出会い。きっかけは「ナノナ~」と鳴くすごぶるかわいい猫。
二人と一匹の一筋縄ではないハートフル森下劇場開演!




 wikipediaによりますと、森下氏の作品には以下の特徴があるそうです。

4コマ作品は3頭身のかわいらしいキャラクターが登場するほのぼのとした雰囲気のの中にある種の世知辛さや、時に冷徹とも言える人間描写が差し挟まれるのが特徴である。「顔はかわいいが心は黒い」「顔はブサイクで心も黒い」キャラクター設定を好み、「顔も心もかわいい」主役は影が薄くなっていったり、「顔はブサイクだが心はまとも」な脇役がたびたび悲惨な目に遭う展開も多い。

 基本的に、この作品もまさしくそうです。とはいえ、悪趣味のキャラいじりは嫌いなので、そのような作品をオススメしません。

 この『なのな フォト ゴロー』は違います。

 キャラクターそのものはそれほど魅力があるとは思えないものの、いざ読むと、どうしてもその「キャラクターの関係性」に引き込まれるしかありません。とにかく人間関係構成のバランスが絶妙な作品としか言いません。

 作品全体の雰囲気をリアルライフばりの「普通」に設定しているからこそ、一種のシビアを生じます。そしてそのシビアさ、いつも主人公ゴローに降り注いでいます。友人も同僚も、誰も彼に優しくすることはありません。

 唯一、そんな彼の心を癒してくれるのは、フォトという可愛い飼い猫だけです。

 そしてフォトを通じて、彼はもう一人の主人公なのなに出会います――「飼い猫が初見の女に強奪される」という、猫好きにとってはおそらく最悪な形で。

 そんな2人だったんですが、なぜかフォトに通じて、友人とも言えない交流が始まったのであった。もちろん、そういうラブコメ的な美しい交流ではなく、あくまでもシビアでシニカルなものです。それでも、端から見れば、実に奇妙な組み合わせでした。

 作品全体のトーンをシビアに設定したけど、猫というギミックを使って二人の主人公を繋ぐ力技は見事ですし、ストーリー自体はが水のように淡々としたものなのに、作品の根源はとことん下世話的なものばかり。こういう下世話的なところこそが、ドラマの原点だと言いたい。

 なんだかシリアスに紹介しましたが、『なのな フォト ゴロー』はあくまでユーモア漫画です。皆さんも、ぜひ読んでください。

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 最近心と身のバランスが崩れ気味なので日本語もやや崩壊しているかもしれません。どうかご容赦を。

ちょくマガ富野由悠季「トミノ流のトミノ」に対する感想&レビュー、およびこれからの展望

2013/07/19 23:30|レビューTRACKBACK:0COMMENT:2
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 こんばんは。角川書店による新しいウェブマガジンサービス「ちょくマガ」の運営が初めて3週間を経ちましたので、とりあえず富野由悠季監督の配信記事「トミノ流のトミノ」のレビューと感想を書きます。



 7月18日の今日までは3回がありますので、とりあえず記事の価値を損なわないように箇所書きをします。

第1回
●「かわいい」が能率を上がる研究
●生真面目で面倒くさい自分を救ったのはアニメという「かわいい」の仕事
●虫プロで「表現」ということを学び、考えた
●今は「かわいい、美しいもの」という能率を上がるエンジンキーがたくさん。自分を生かすには、拾っておいて損はない

第2回
●虫プロ時代への回想
●当時の虫プロはなりゆき任せだったからこそ、自分程度の人間もやれた。
●逆に、いつまでも下にいるじゃダメだと思った。それで仕事をやりながら、密かに勉強した
●「ロボット・ヒューチャー」のコンテで手塚による抜擢。それで正式に演出になった
●脚本の素養がない(本職に敵わない)ので、演出に徹するしかないと思った
●アトムが終了したのは自分の能力が足りなかった
●社会に認められなかった職業に就く絶望、現実への疑問や怒り、そして食うために仕事を続けるしかない
●「納期厳守」は自分がアニメ業界で生き延びれた最低条件だった

第3回
●アニメを作ること=子供の目を意識すること。だから真面目にやらないといけない
●子供向けに作るには、理詰め=大人の理屈ではいけない。
●漫画的な安易な可愛さが嫌いだが、アニメはその部分を徹底的にくすぐる必要がある
●『オバケのQ太郎』と『ど根性ガエル』で特に実感させられた。
●メカものが必要なのはかわいさではなく、ハードさ。それを強化するためにリアリズムを持ち込んだ
●ダイターン3で一番大事なのは007のお色気だった
●ガンダム以降、セイラさんを超えるキャラを作れなかった=記号の持つかわいさは自分の作品に無かった

 以上の箇所書きは大体の内容です。ニュアンスをだいたい鷲掴みしましたが、細部の話まで紹介しませんでしたので、もとの配信記事の価値を損なわなかったはずです。気になる方は購読してください。

 第3回までの感想を書きますと、まず、第1~4回が一連の話で、内容はおそらく一回のインタビューでとったものでしょう。第5回以降は不明ですが、たぶん別の話に入ると思います。そうなると別のインタビューになるのでしょう。

 内容に関しては、非常にリアルタイム的なものです。最新の「かわいい」話題は去年10月のものでしたので、間違いなく富野由悠季監督の「今」を切り取っている記事になっています。富野監督は色んなメディアでの露出度が非常に高いですが、こういうエッセイ的な話は意外にも少ないものです。なので、ちょくマガの記事が一連のものでかなりのボリュームがあることも加味すると、単に雑誌に載った一遍の記事よりも、遥かに価値が高いのではないかと思っています。

 それから、記事の内容を語ります。

 第1回は導入部みたいなものなのですが、何よりの見所は「かわいい」という話です。ここで富野監督は「かわいい=アニメ」と規定した上、それらが人にとって有益だと言い切った。記憶のなかでは、富野監督は今までも何度かアニメが視聴者に対する影響力を言及していましたが、ここまでアニメのプラス面を取り上げて肯定するのは、今回がおそらく初めてなのではないかと思っています。

 第2回は虫プロ話を中心に展開されます。このへんの話は『だから僕は…』でも読めますので、特に新味がありません。とはいえ、細かいニュアンス的に差異がありますし、そもそも『だから僕は…』は今となって『ターンエーの癒し』と一緒に絶版しましたので、ウェブマガジンでそういう話をよりシンプルな形で読むのもいいかもしれません。

 第3回の話は、非常に貴重です。『オバQ』と『ど根性ガエル』の話はどちらも初出の上、ここから自分の作家性および自作に与える影響を監督本人の口から聞けるのは、おそらくこの記事が最初なので、単独購入でも是非読みたいものです。

 そして、第4回予告はこれです。

★次号予告★

はっきり言います。
僕は天才ではありません――。

「トミノ流のトミノ」、第4回は、
これまでの3回をまとめ上げるような形で、
富野監督の考察が、深く深く、及んでいきます。

天才とはなにか。
個性とはなにか。
そして、個性などない凡人が新しいものを生み出せる唯一の方法は――。
次号「トミノ流のトミノ」、ぜひご期待ください!!

 角川書店さんが今まで富野監督およびファンに対する仕打ちを鑑みて、いまいち不信感を抱いている方もいるかもしれませんけれど(私もそうだった)、今回富野記事配信の第3回までの内容で言いますと、皆さんの期待に沿えるコンテンツであることは私が保証できます

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 しかし、このちょくマガの価値はおそらくそれ以上だけではありません。

 ちょくマガの富野ページの紹介をよくごらん下さい。

富野由悠季のメルマガは「ちょくマガ」で!
ちょくマガでは富野由悠季のここだけ話をメールマガジンで配信中。定期購読すると、富野由悠季の新作や日常が大ボリュームでわかります。富野由悠季の最新情報やニュースをちょくマガで楽しんでください。メルマガだけではなく、EPUBで電子書籍としても楽しめるのが特徴です。公式メルマガを読むならちょくマガで!

 赤字は自分でつけたものですが、これによりますと、ちょくマガ配信は新作――つまりGレコ(Gのレコンギスタ)――の情報を紹介してくれます。富野監督の口を借りる形なので、おそらく断片的な話になるにせよ、今のところGレコの新しい情報が入れる公式なルートは、ここしかありません

 Gレコの放送は2014年春が有力だそうですが、正式なアナウンスが来ていませんし、(GBFのあれ以降)発表もまだ来ていません。将来、正式な発表が来てば、雑誌や新聞などの取材は来るし、ビジュアル的な掲載も多くなるのだろう。しかし今の段階では、ちょくマガが一番の頼み綱であることを否めません。

 ここから憶測ですが、富野さんを放置して数年のサンライズが、今までろくに富野さんをプロデュースも宣伝もしていませんでしたが、それが突然にウェブマガジンを許したのは、角川書店さんの努力の賜物以外、実はサンライズの意向によるものなのではないかと考えられます。つまり、サンライズが富野さんの人身自由を握っているのに、いろんな都合でプロデュース・宣伝をしないので、それらの業務を擬似的に角川書店に委託するのではないかと想像します。

 まあ、以上の話はあくまで想像にすぎませんが、たとえサンライズにそんな意図がなくても、正式な発表が来ない限り、バンダイ・サンライズからの発信はないですので、結果的に角川が発信権を握っていることが事実です。あくまで希望的観測ですが、サンライズに比べれば、角川書店はやはり比較的に富野監督に対する積極的に働きかけをする感触ですので、今回の試みには上手く行ってほしいですし、もし成功すれば、また小説なり連載なりの形に繋がってほしいものです。

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 以上の話をまとめて結論を言いますと、「今すぐ購読しなさい!」という一言です。このちょくマガの「トミノ流のトミノ」がそのままイコール富野由悠季監督への注目度(を測量する指標)、さらに新作にも繋がるかもしれないと確認できた以上、一人でも多くの人に購読してほしいものです。それがGレコ(またはGのレコンギスタ)および富野監督を応援する上、今もっとも有効な方法の一つです。

 ですので、今回は第3回までの記事を箇所書きの形で紹介しましたが、皆さんには是非富野監督の話を直接に読んでもらいたいので、申し訳ございませんが、これからはできるだけに記事を紹介しませんし、あっても今回の半分以下のボリュームにまとめさせていただきます。どうかご了承を。

 とはいえ、Gレコの情報があればガッツリ紹介しますので、この点に関してはご安心ください。


▽続きを読む▽

『翠星のガルガンティア』1~2話視聴感想

2013/04/21 21:19|レビューTRACKBACK:0COMMENT:3
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 『翠星のガルガンティア』1~2話視聴感想
 『翠星のガルガンティア』の1話と2話に関する個人の感想を書きます。全体はプラス評価ながらも、厳しいところがややありますので、そのような話が好きじゃない人は読まないでください。



1話

Aパート
 全体としての展開は見れるけど、特に面白くもないというのは実情。

 ここならではの見せ場もなないし、「いきなりクライマックス」というおそらくの演出意図にも達していません。 

 戦局の推移を見せたが、肝心な戦闘シーンに中身がいない。敵にエネルギーを吸収されるところなんか、ただ植物が機械の頭部にかぶるだけに見える。

 監督の狙いとおりかどうかは知りませんが、シミュレーションゲームじゃないから、「静的な戦闘」で魅せようとするのは、なかなか難しいものだと感じられます。確かに1話前半の戦闘は今のところこのアニメ最大の見せ場だったが、それだけのことだ。

 つまるところに、ご自慢な正確な設定も、結局ほかの作品のSF設定と何の代わりも無い。大事なのはいかにそれらしく作って、多数の人に魅せることに尽きます。なので、他人の作品を設定ミスとか理解不測とあざ笑う暇があれば、まず自分の作品を磨くのはいかが?とある人に言いたい。

 導入部には過度な期待を抱かないし、これからのストーリーがこのへんの話をフォローするかもしれないけど、いまのところ、Aパートが機能したのは主人公の背景紹介、Bパートとの対比くらいで、本当にただの導入部でしかないと感じる。

Bパート
 BパートはAパートより一転、グッと面白くなった。

 特筆すべきなのは、どこが面白く描いたわけでもなく、とりあえず「異文化接触」を素直に描けば、こんなにも面白いという見本を見せてもらいました。

 この素直な面白ささえあれば、演出がどうとの細かい展開がどうとのって話しは、すべてまやかしでしかない。それを上回る面白さがあるんだから。あえて比べるまでもないが、もう一つのほうのアニメに比べて、確かに素直で非常によろしい。

 あと、監督の出身のためか、空間を意識する構図や演出が見られますが、そういう空間把握能力は見てて頼もしいなあと思います。

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2話

全体の話
 1話をうけて発展する話だが、はっきりいって、1話が提示した期待値ほどの出来ではありませんでした。非常に悪いところは特にないが、ちゃちに見えるところはいくらでもありました。

 それら悪いところが一言で表すと、「ドラマの密度が薄い」。

 2話のラストをああいう展開まで持っていきたいためという話は当然分かるが、そこまで至る段取りもできている。しかし、その段取りを温存した結果、全体の時間が無駄になってしまって、結局ファーストコンタクト話として言えるのは、ヒロインと主人公の「交渉」だけだった。

 酷いのは、冒頭とあの交渉話、ラストの三つのシーン以外、まったくドラマらしいドラマは無かった。10数分という大きな時間を、ただ流しているだけのようで、1クール作品なのにそんなに暢気していいか、と思いました。

キャラのテンプレっぶり
 ドラマの密度が薄い一因というか主因は、キャラがあまりにもテンプレすぎることにある。

 ただ立っているだけの女リーダー。修理屋だからばらすことしか考えていない。サルベージ屋だから宝のことしか考えていない。

 大人だから頭でっかちで、子供(ヒロインの弟ね)だから夢物語を見てもいいし、しかもそれが正解を掴んだりする。

 ヒロインもひどい。天真爛漫なエイミだから警戒心がなくてもいい。相手は子供(主人公ね)だから警戒心がなくて、すぐに呼び捨てができる。そして純真だから主人公にも打ち解ける。

 交渉まで派遣したのに、子供の話だから信じない。自分たちの常識をはるかに超越する技術なのに、宇宙の話は自分たちの常識をはるかに超越してるから信じない。

 同じく郵送屋なのにヒロインってだけで能動的なヒロイン。他の郵送屋はまだ出番なのでまったく動かない。たぶん竣工と第一ヒロインとの絡みが重要なために、後回されているでしょうね。ヒロインのキャラ立ちが大切だから(笑)。

 厳重な警備なのにエイミが自由に去来できる。文明後進だから暢気していい。などなど。

 つまり、キャラはストーリーの都合でしか動かない。人たちがドラマに必要される以外の時間に生きる感じがしない。ヒロインのくだりなんかは本当に「無邪気で人を動かす」ようなテンプレで、常識で考えると子供でも一市民でも自分なりに打算するなのに、たぶんこのドラマには存在していないからそんなこともないだろうな。

 あれでいいよ! と文句を言ってくるお客さんはいるかもしれないが、じゃあヒロインと主人公以外、1話より中身や役割を見せたキャラクターがいるとでも? と自問してください。無いでしょう。
 
演出陣
 演出陣の問題もある。

 なにより、街を見回すと世界観を披露したと思い込む演出陣。

 いまのところ、この作品の世界観は「説明」によって伝えているものであり、「演出」で見せたものじゃない。ヒロインがメッセンジャーボーイ(ガール)であるのもおそらくその意図にあると思われるが、見せたいものはいっぱいあるはずなのに、なぜか本当に見回るだけ。

 似たような作品には「絢爛舞踏祭 ザ・マーズ・デイブレイク」がありますが、それは街を使いながら世界観を披露できた悪くない例というか見本です。さらに、その先祖である「OVERMANキングゲイナー」も、富野回と一部の演出回はそれをできた。

 こんなものなら、マンガチック的ではあるが生活臭溢れている「ウォーター・ワールド」の序盤に出てくるあの島が遥かに素敵だ。見せ方も段違いだ。

細かい芝居
 大きな時間の使い方は悪かったんですが、小さな時間を使って芝居をさせることも、どうやらこの制作陣には難しいのようです。

 とにかく、展開はあるんだけれども、細かいところの芝居とかは大味すぎます。展開の都合でキャラには大きな動きがないならば、細かい芝居でキャラを描くのは常套のはずなのに、それさえ出来ていない。

 ちょっとだけ例。ヒロインが2話終盤直前で主人公に助けを求めたが、そこはまさに「展開」しか存在していない箇所だ。ヒロインの必死な呼びかけに対して、主人公が「それがガルガンティア全体としての要請か?」と言って、ヒロインがそれにちょっと躊躇ってから、「そうだ」と頷くという細かい芝居一つだけでも、ドラマがグッと濃くなるし、緊張感もまったく違ってくる。

 しかし、ここを含めて、このような短い時間を利用する演出がまったくできていなかった。別に富野由悠季演出がスタンダードとは言ってないし、それを基準にして他の作品を検視したいわけでもありませんが、それくらいはキャラクターを「その世界にいる実在人物」を考えて描くと、全然常識内の話だと思います。

 なので、インターネット上ではこの第2話を大絶賛する人はいますが、正直それは過ぎた言葉だと思います。この演出程度だと、無難にストーリーをそつなく描くことを完走できるだろうけど、ドラマとしてはお粗末だった予感は、この2話で見させてもらった。

脚本
 いまのところ、脚本に落ち度が見られません。展開としては、このストーリーは面白いですし、構成も間違いが見られません。脚本の人に思いいれはありませんが、確かに確実な腕があると思います。

 しかし、2話を見終わった限り、話の内容はいまいち満足するほどの密度(腹八分さえ達していない)がなかった。

 今さらこういう話は遅すぎたんですが、演出でドラマの密度や粘りを出せないならば、脚本家が脚本段階でそれを上げることもできるはずです。

 脚本の虚淵玄氏は間違いなく良い話を書ける人なんだから、この作品で書いた脚本を基準に、将来はもし監督や作品に応じてストーリーの密度を調整できるようになれば、この時代では間違いなくストーリーテラー型の脚本家としてのトップクラスに入ると思います(いまの段階…というかまどかマギガ以降の段階では、どっちかいうと名前先行という感じだし)。

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まとめ:今後に期待

 二話に関していろいろ厳しめな感想を残しましたが、全体は一話のところで言及したとおり、「ストーリー」としては素直に観れる面白さがあります。当たり前なことだ!とはいえますが、少なくこの素直さが今日では貴重なものとなっていることは間違ない。つまりどういうことかというと、もう一つの注目作(だった)に比べて、全然見やすいと思います。

 なので、今後はたぶん2話の感想で取り上げた欠点も出てくるんでしょうが、しばらくは見守って生きたいので、3話以降もとりあえず見続けます。

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∀ガンダムフィルムブックはすごい!

2012/08/30 23:11|レビューTRACKBACK:0COMMENT:4
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - ∀ガンダムフィルムブックはすごい!
 突然ですが、放送当時角川書店より発売された『∀ガンダム フィルムブック』を第2巻だけ持っています。台湾の昔で閉店セールスをやっていたアニメショップより50元(現在のレートなら150円以下!)という叩き売りの値段を買ったものです。

 フィルムブックでいえば、画面スチールを載って話のあらすじを紹介しつつ設定資料を貼る本というイメージですが、実際この本を買った時もそう思いました。しかし、いざ読んでみたら、この『∀ガンダム フィルムブック』は違います。手元にあるフィルムブック第2巻のページをパッとめくっても、以下の内容があります。

1、各話紹介
2、各話演出要所および制作資料紹介
3、メカニック紹介&設定
4、スタッフ証言集(安田朗)
5、スタッフ&キャストリストなど

 そのうち、2の話は特に面白い。試しに紹介してみます。

第5話 チェックポイントその1
戦闘機乗りは空を飛べる!わけではないが……

 メシェーがモビルリブに飛び移るシーン。普通に考えれば「無理だ!」と思いたくなるこんなシーンが自然に見える。というのも冒頭でロランが飛行船から飛行機に飛び移るという描写がなされているためである。∀の絵コンテには、こういう演出教室ノリの細かい書き込みが多数見られる。なかには、冒頭の装甲車から顔を出すヤーニ軍曹の対比の面白さには「人間の乗るものはでかいと信じている人はアホなんだよね」なんて意見も書かれていたりして。

第7話 チェックポイントその2
絵コンテに見るワイプによる演出講座

 町でパンを売るキースのシーンで、カットの切り替わりにワイプという手法がつかわれている。これは画面を横に拭き取るようにして下に次のカットが現れる技法。この使用に際して、絵コンテにはこんな注意書きがされている。曰く「ワイプを使うということは、劇中のテンポを上げる感覚があります。(中略)切り込むようなタイミングで入れた方がいいと思います」また「ワイプすぐのアクションをつくらないとワイプだけの見せ絵になってしまう」のだとか。

 などなどの話が面白い。演出要所の紹介は、このほかにもライター(執筆者)による分析がありますが、それほど読み応えがあると思いませんけど(まあ、ライターは誰かはだいたい察しがつくけど)、この部分の価値はもっぱらこのようなフィルムで見られない部分に集約されています。たとえば、以上のように『∀』のワイプを取り上げる書籍なんてほとんど無いですので、いかにこのシリーズに価値があると分かるはずです。

 また、あきまんこと安田朗氏の話も面白い。

富野監督は「安田十神」のひとりだった
僕のなかには「安田十神」(※)というのがあって、それが大河原邦男さんであり、安彦良和さんであり、高荷義之さんであり、司馬遼太郎さんであり、そして富野監督なんです。この安田十神の中に富野監督は、常任神様みたいな位置で常にいたわけですが、じつは監督と出会った頃の監督の順位は8位くらいに落ちていたんです。

※安田十神
十神に下には安田十超人があり、十神の上位8人は常任、9~10位は十超人と入れ替わることもあるとか。さらに十超人の下には安田百大ヒーローが十超人予備軍として存在しているらしい。

 なんともあきまんらしい話だった。

 正直私は設定的な資料にさほど興味ない人間なんですが(あくまで鑑賞上の参考と取っている)、それでもこのフィルムブックは作品や演出をより深く楽しめる内容をたくさん収録していますので、このシリーズは普段そういう本を買わない人にも薦める一冊です。とりあえずこれから何回を分けて、この本のタメになる内容を紹介したいと思います。

 ガンダムのフィルムブックが全部そうなのかは知りませんけれど、少なくともこの∀ガンダムのは機会があれば全冊集めたいと思います。まあ、円高で日本に行くことさえ夢のようになってきますけどね。



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『映像演出の教科書 シナリオと絵コンテを読み解いて学ぶ』レビュー

2011/11/26 23:51|レビューTRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 『映像演出の教科書 シナリオと絵コンテを読み解いて学ぶ』レビュー
 先日の予告とおり、今日は藍河兼一氏の『映像演出の教科書 シナリオと絵コンテを読み解いて学ぶ』をレビューしたいと思います。「教科書」というからには、以下の文章は主に「映像を勉強したい人」向けて書かれているものです。なお、本ブログは富野由悠季監督のファンという立場から、富野監督の著作『映像の原則』も併せて語りますが、どうかご注意を。



 さて、富野由悠季監督が書いた映像演出に関する技術書『映像の原則 改訂版』は出版されました。改定版は旧版に比べて大幅読みやすくなって、誰も気軽に読める一冊になりました。この本を教科書として採用した大学や専門学校も多く、演出志望の人にはとてもオススメな本です。

 しかし一方、『映像の原則』を読んでも、いまいちピンとこないと思っている演出志望者もいるはずです。「読んででも演出の全貌を分からない」「もっと丁寧に説明してよ」「もっと多い例を挙げろよ」とかの声は、きっといるはずだろう。初心者でも分かりやすい本のはずなのに、なぜこういうことが起きるんだろう? 当然、富野監督の書き方が下手だからではありません。

 では、理由はなんなんだろう。それは、実際富野監督はまったくの初心者をこの本の読者と想定していなかったからです。富野監督が人に教えるときの原則はだいたい「やればわかる」ということで、この本を書いたときも同じで、こんな本を取るくらいだから、きっと映像演出に興味あるに違いません。興味があるからには、最低限の学力や経験を積んでいる、もしくはそれらを身につく勉強をしているはずでないと、そもそも話にはならないと考えているはずです。

 だから、『映像の原則』は一見難しいようですが、実は一度でも実際にアニメ制作を経験したある人が読めば、自然にいろいろ分かるものだと言えます。つまり、そもそもこの本の前提は、「読んで勉強したいと思うな! 読む前から勉強は始まっている!」というものです(※注:単に映像を鑑賞したい人ならば、そんなに構えて読む必要はなく、逆に流し読みをするほうが、それらの「原則」に入りやすいかもしれません。)。

 だから志望者ならば、今すぐ筆をとって、とにかく書いてみよう。これはなにも絵コンテに対する原則ではなく、すべての勉強の肝心だといえます。



 それでも、どうしても筆が重くて動けないならば、まず『映像の原則』をおいて、藍河兼一氏の『映像演出の教科書 シナリオと絵コンテを読み解いて学ぶ』を参考すれば、映像制作の全体像と基礎的知識、さらにサンプルを得て、安心して描けるのだろう。そういう意味では、この本は『映像の原則』に入る前に、いちばん分かりやすいサブテキストだろう。

 それでは、まずこの本の紹介と目次から観てみましょう。

『ビデオサロン』誌の人気連載「実践!絵コンテトレーニング」が一冊にまとまりました。
絵コンテは、多くのスタッフが一つの映像作品を作り上げるうえで意思疎通に欠かせないもの。
本書では、4本のオリジナル脚本を元に描かれた絵コンテと解説を見ながら、映像演出の具体的なノウハウを学んでいきます。
さらに絵コンテの見方や書き方をはじめ、映像制作の作法や段取り、映像表現のテクニック解説など、映画やドラマ制作を本格的に手がけたいと考えている方はもちろん、ドキュメンタリーや紀行ビデオ作品の演出に悩む方にも必ず役立つ情報が満載!

【目次から】
●第一章: 絵コンテの基礎知識
作品 「PEEK A BOO」
●第二章: DSLRを使った映像制作の実際
作品 「静かな海のバニー」
●第三章: SF作品から演出の奥深さを学ぶ
作品 「夕暮れ時のベントラ」
●第四章: 絵コンテから演出意図を読み取る
作品 「小説少女」

コラム
絵コンテの役割
時間をつまむ
シナハンとロケハン
シーンとカットとテイク
主観と客観
サイズと構図
物語の構想
DSLRとレンズ選び
シフトレンズ
不可能な設定
のりしろ
ファーストカット
漫画と絵コンテの違い
タイトル部の考察
映像トリック
カメラワークで印象を変える
長まわし
ラブ・シーンの演出
カット割りの応用
アクションつながり
音は接着剤
血糊のレシピ
映像の作法/NG集~ジャンプカット
映像の作法/NG集~ズームインズームイン
カット割りの映像トリック
映像の作法/NG集~カメラワーク中のカット
移動のカット
映像の作法/NG集~眠いパン
SF異星人
知っておきたい業界用語
視点
回想シーンの挿入
映像の作法/NG集~ダサい画
映像の作法/NG集~イマジナリーライン
映像の作法/NG集~ダサいつなぎ
ロケハンでの部屋の選び方
「間」の演出
俯瞰撮影
ミニマムフィルムのすすめ
ラストシーン

 このとおり、作者が4作の短編映画のシナリオや絵コンテを完全収録するほか、さらに絵コンテの読み方、カメラワークの記入法や見方、フィルムを作る上のノウハウなどをまんべんなく紹介してくれました。さらに、この4つの作品の完成フィルムはすべてyoutubeでご覧になれますので、シナリオ→絵コンテ→実際のフィルムという過程をじっくり味わえることができます。この部分は作者が書いた演出解説とともに読むと、面白さはさらに倍増するに違いません。

 一概ではいえませんが、『映像の原則』によると、実写畑は絵コンテを作成することが少ない。また、黒澤明監督の絵コンテを観て分かるように、実写はたとえ絵コンテがあるにしても、むしろ「ストーリーボード」に似ている形のものが多いです。しかし、この作者は実写映画の監督であるにも関わらず、非常に細かい絵コンテを作っています。制作した作品は短編映画という性質を抜きにしても、大変分かりやすいです。まさに絵コンテを観れば、フィルムの7、8割を想像するということです。つまり、この本で言及した絵コンテの重要性は、ほぼ富野監督が『映像の原則』で言った話と合致していますから、『映像の原則』の前にこの本を読んでも、まったく違和感を感じないはずです。

 ただ一つ個人として残念なのは、本書に収録されている4本の作品のシナリオと絵コンテはすべて著者(=監督)個人によるものなので、富野監督が言ってた「絵コンテ段階でシナリオを改訂する」作業がこの本では見られませんでしたが、それでも『映像の原則』のサブテキストとしては最適です。また、アニメと実写の絵コンテやフィルムに関する微妙な「クセ」(特性、違いなど)がわかって、よりアニメにも実写にも共通する「映像の原則」を納得できるはずだと信じたい。



 やや値段が高いですが、映像好き、もしくは勉強したい人にとっては損はしないはずです。また、玄光社はこの本以外にもいろいろなカメラや映画に関する本を出版していますので、興味ある方はぜひ探してください。


 以上の本をマスターしたなら、この本も楽勝楽勝です。

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ニュータイプエースVOL.3レビュー

2011/11/20 22:39|レビューTRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - ニュータイプエースVOL.3レビュー
 日本より10日くらい遅れて、今月のニュータイプエースはようやくこちらに届きました。なので、以下はレビューをします。



 結論的いうと、今号は非常にがっかりです。もともと私は完全に富野由悠季監督の「Gレコ」目当てなので、第1号からあえてニュータイプエース編集部の思惑を乗り、ガンダムエースからこっちに切り替えたのです。しかし、第3号ではさっそく情報切れで、「TOMINO CLUB」という富野関連情報を紹介するコーナーでお茶を濁そうとしています。そもそも富野情報なら僭越ながら、私のほうが詳しいかもしれません。富野監督は「できれば年明けで小説を始めたい」と言いましたが、今から年明けのニュータイプエース(1月10日くらい?)まで数えても2ヶ月未満なので、このままでは到底期待できません。

 今のところ、アンケートハガキを送るために、しばらくも購入を続きますけど、さすがにこれ以上バカにされれば、いつまでも付き合うほど優しくないです。ファンが支持しているのはあくまで作家で、間違っても出版社や編集部ではありませんから。これは、別に私一人の考えではなく、ガンダム系情報サイトの双璧として活躍しているシャア専用ニュースさんとシャア専用ブログ@アクシズさんもまったく同じ感想を述べていました。

シャア専用ニュース編集後記

今日は「ニュータイプエース(以下、NA) Vol.3」を買ってきました。結論から先に言うと「がっかり」の一言。NAの大きな売りだったはずの富野由悠季監督新作プロジェクト「Gレコ」。それが第3号で早くも続報がないばかりか、代わりに掲載されていたのが「TOMINO CLUB」なる富野由悠季ファンに贈る不定期連載の新コーナーで、コーナー第1回は富野由悠季対談集「ガンダム世代への提言」の宣伝がたった2ページ載っているだけという有様。こんなコーナーが不定期連載だなんて「『Gレコ』はしばらく進展ありませんから、富野由悠季関連ニュースでお茶を濁します」と言っているようなものです。案の定、12月10日発売の「Vol.4」の予告にも「Gレコ」の文字はなし。「Gレコ」の記事が読みたくてNAを買ってるのにあんまりだ。富野監督は「2012年明けくらいにはノベルスをスタートさせたい」なんて言ってたけど、これじゃあとても期待できない。一応情報をチェックするためにこれからも買うけど、本当にがっかり。情報は小出しでもいいから、もうちょっと富野ファンを楽しませてください(ToT)。

ニュータイプエースVol.3メモ│シャア専用ブログ@アクシズ

Gレコ新情報はなし。

「TOMINO CLUB」として御禿関連の「不定期」連載新設。今月はGレコに影響を与えた対談紹介の販促記事のみ。次号予告もなし。

が、強いて挙げるならば、です。Gレコ新情報はあるにはあります。

Vol.1のイメージボードGの奥側エレベーター基部が「キャピタル・タワー地上部・運用局サイド」として単独画稿掲載。キャプションは「F・CP二基左向き原図より」。

これしかないけどアンケートを出すしかないのかね…。




 なお、大和田秀樹氏の『トミノ伝』は第4号でも載るそうです。第1号では「特別読み切り」とされて、今でも正式連載になる告知はありませんが、次号予告では普通に「連載」としてカウントされています。もしかしたら大和田秀樹氏の作品を楽しみにしている方もいるかもしれませんので、一応ここで告知します。

 が、第1号こそ富野ヨシユキ(作中表記に従う)の『海のトリトン』話を取り上げたものの、第2号からはブンゴー福井ハルトシ少年が連続に出張し、なんだかちょっと彼をヨイショする感じがしないでもありません。ちなみに、第3号は池田シュウイチと「シャアとララァが出来ている」という有名なエピソードですが、富野監督の出番は相変わらず少ないです。なので、個人的では楽しめたのですが、富野分とカウントするにはやや無理な感じです。

『 愛とまぐはひの古事記』レビュー

2011/11/11 07:23|レビューTRACKBACK:0COMMENT:2
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 富野由悠季監督の解説を目当てに、大塚ひかり氏が2005年で書いた『愛とまぐはひの古事記』の文庫本を購入して、1日で読破した。ここでちょっとレビューを書きたいと思う。



 まず、この本には日本最古の歴史書『古事記』に対する「新説」が込められているが、それはあくまで大塚ひかり氏の解読に基く論調なので、学術的な価値はほぼない。

 それから、大塚氏は時々本のなかで突如自分の経験を語り始めるが、彼女に慣れている読者にとっていいかもしれないが、私のように初読者にとって、大塚氏のキャラクターにそこまでの魅力がないため、はっきり言ってそういう話は本を読む上の邪魔でしかない。

 また、彼女は本のなかで12本の話を取り上げたのだが、そのすべてが面白いわけではない。古事記を読んだ身から言わせてもらえると、ほかにももっと面白い話があるはずなので、正直一部の選択はそれほど上手ではないと感じた。もちろん、そこは人それぞれの感性によるものだが…。

 以上をまとめれば、別の本はまだ読んでいないからこういうのも恐縮だが、この本を読む限り、厳しい話をいうと、大塚氏は一流の物書きではないかもしれない。

 しかし、それではこの本に価値がないかと言ったら、決してそんなことは無い。むしろこのように神話を読み解く方法論を知らない全ての人に読ませたいくらいだ。



 では、この本の価値はいったいどこかにあるかといえば、作者の「連想ゲーム」の気持ちよさだ。

 一般的でいえば、古代の話や出来事を現代人の価値観や判断で読み解くのは、タブーもいいところだが、作者はあえて自分という器を通じて、古事記などの日本神話を語った。その「あえて」という行為は一見作者の現代人として、そして一個人のエゴでしかないが、意外にも時間を越える真実がその行為のなかにあるかもしれない。しかも、それは別に作者のセンスが特別とかじゃなくて、ただ女性としての感性を駆使しただけからすごい。

 イザナミとイザナギの国づくりを「女性から先に告白する場合は大抵上手くいかない」と、アマテラスの天岩戸岩隠れを「強姦されたトラウマ」と、そして「ヤマトタケルノミコトはホモ」とするなど、およそ学術的な解読とかけ離れて、まるで下世話を語るように日本神話論を展開する。

 が、まさにその下世話なところがいい。下世話は時間をも越えて、普遍的な様子を持つものだから、全編を通して作者は誤読がある恐れにせよ、こういう大胆な切り口によって、ひょっとしたら過去と現在を瞬間的に繋げたのかもしれない。
 いや、実際こうして一つの切り口を貫いて一冊の本をまとめたんだから、この際誤読もいいかもしれない。そういう気持ちいい誤読であれば。

 太刀を見るや否や、全て男性器と連想する。蛇を見れば、すかさず女陰と連想する。この解読行為のなかには明らか誤読が存在していると分かっていながらも、ついについに作者の解読に従ってエロの目を開く。漢文だらけの文字だけではなんとも思わないかもしれないが、作者の口(文章)を通して伝えれば、たちまちエクスタシーが秘めている話の連続になる。



 作者が本のなかで話したように、本当に人を癒せるのは、世間のヌルヌルの「癒し系」ではなく、むしろ古事記に代表されるような凶暴で頭悪い(直感的という意味で)話かもしれない。

 どうして気持ちいいか。それは、理屈が込められておらず、しかし長い歴史のなかの出来事と人間の有様が凝縮しているような話が、アホなまでに素直に語られているからだ。こういうアホだが、人間のもっとも原始的な一面を文字に通じて体感できるのは、確かにストレスとプレッシャーを和らぐことができる。

 つまり、心理学的でいえば、古事記はまるで人間の映し鏡のようなものと言えるかもしれない。そういう箱庭療法的なものが、物語に生きている他人が人の生死、愛憎、そして性を演じさせたことを通して、自らの知を広め、肝を冷やし、心のバランスを再建することとリンクしているのではないだろうか。

 まあ、とにかく結論をいうと、この本を読んで、このような方法論というか深読力というか観察目を盗めば、きっと将来の読書人生の役に立つだろう。そういう意味では、オススメな一冊です。



 大塚氏が本のなかで面白い指摘の一つには、古来日本の物語のなか、本当の宿命のライバルというのは、必ず非常に緊密な絡みがある、と。それも現在の目で見るとホモと思われても仕方ない濃密な絡みである、と。これは富野作品のなかでもよく見かける。

 一番代表的なのは、『機動戦士ガンダム』のアムロとシャア。いうまでもなく、この2人は精神的なホモ関係を持つのは、もはや周知のことだ。事実、富野監督もそのつもり描いたのだから。

 それから一方的なホモだが、『聖戦士ダンバイン』のバーン・バニンクスがある。ショウは対してバーンを気にしないものの、バーンは勝手にライバルと認定し、執拗に追いかける。まあ、最後ショウもバーンのホモ根性を認めたが、抱き合って共に死ぬのだから、バーンにとっても本望なんだろう。

 それだけじゃない。『アベニールをさがして』の笛吹慧と『OVERMANキングゲイナー』のゲイン・ビジョウ。2人とも色男だが、年下の主人公たち(オノレとゲイナー)に対する挙動は、なぜかどこかホモっぽい。 もちろん、この二つの作品の場合、兄貴たる人物がかっこよすぎるから、弟分の主人公たちが勝手に濡れちゃうだけなのだが、こういう年上の男に導かれたのも悪くないね(この点においてシャアは失格)。

 また、ライバルとはいえないが、『リーンの翼』のエイサップ・鈴木くんとサコミズ王がある。5話では、鈴木くんは仲良くサコミズ王を抱いて(まるで阿部さんを抱いてる道下正樹のように)一緒に空へI'm King of the Worldをして、どうみてもリュクスよりサコミズ王ラブだった。

 まあ、富野監督はオネエ言葉を自在に操り、台湾の講演で「男性の女性性と女性の男性性も描きたい」を言い、ロランの描き方を分からないスタッフに「あなたの中の女を出せばいいじゃない!」と叱責したお人だから、こういうところを分からないはずがない。




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